概要
この記事では、AI-OCR機能の詳細な使用方法と具体的な活用方法を解説しており、チェックボックスの読み取り、既存レコードへの上書きや追加登録、AIへの指示機能について詳細に説明しています。これらの機能を活用することで、より柔軟で効率的なデータ管理が可能となります。
(基本的な使用方法、操作方法に関しては以下の記事で解説しております。)
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目次
・チェックボックスの読み取り方法
使用可能な設定 >>> 固定フォーマット(新規登録・上書き登録)
・「上書き登録」の活用例と使用方法
使用可能な設定 >>> 固定フォーマット(上書き登録)、フリーフォーマット(上書き登録)
・AIへの指示について
使用可能な設定 >>> フリーフォーマット(新規登録・上書き登録)
チェックボックスの読み取り方法
対応フォーマットタイプ >>> 固定フォーマット
対応登録方法 >>> 新規登録・上書き登録
固定フォーマットでは、チェックシートやマークシートなどの文字以外の情報を読み取り、データ化することも可能です。
◆読み取りデータ
チェックボックス形式の読み取りでは、チェックボックス内のチェックの有無をデータとして読み取ります。上記画像を例にすると、「性別 - 男性」という読み取り項目には「チェックマークがある」というデータが記録されます。反対に「性別 - 女性」には「チェックマークがない」というデータが記録されます。そのため、「性別 - 男性」や「性別 - 女性」のような読み取り項目はレコードに直接書き込むことができません。チェックボックス形式のデータを登録するためには、受け取ったデータをチェックボックスの形式に対応させる必要があります。
◆読み取りデータの受け取り
読み取った「チェックマークの有無」データは、チェックボックス形式やプルダウン形式などの選択式の項目でのみ扱うことができます。そのため、「性別」の項目では、「男性」「女性」のように選択肢を作成する必要があります。また、チェックボックスの読み取りを行う項目ごとに、それに対応する選択式の項目を作成する必要があります。
◆項目設定
「AI-OCRの設定」の「項目設定」にて、読み取った「OCR項目」とレコード項目の対応付けを行います。これにより、「OCR項目」の「チェックマークがある」という情報が「項目名」と結びつき、登録レコードには「チェックマークがある」「項目名」が表示されます。
◆読み取り結果
◆まとめ
・チェックボックス形式の読み取りでは、「チェックの有無」を「OCR項目」として記録する
・「チェックの有無」データを登録するには、選択式項目(チェックボックス・プルダウン等)が必要
・「項目設定」にて、「項目名」と「OCR項目」の対応付けを行う
「上書き登録」の活用例と使用方法
対応フォーマットタイプ >>> 固定フォーマット・フリーフォーマット
対応登録方法 >>> 上書き登録
AI-OCR機能を使用する際に「上書き登録」を活用することで、既存のレコードに対して「上書き」や「追記」といったデータ登録が可能になり、より柔軟なデータ管理が行えるようになります。
◆活用例
1つの例として、記名式アンケートの管理に活用できます。アンケート用紙の氏名とレコードの氏名を対応付けることで、氏名ごとにアンケートの回答内容や実施状況などを1つのレコードとして管理できます。また、アンケート用紙の氏名とレコードの氏名を照合し、自動的に情報を振り分けるため、大量のアンケート用紙を一括で登録することも可能です。
◆重複チェック項目の設定方法
読み取り情報とレコード項目を照合して上書き登録を行うには、照合処理を行う項目を指定するために「重複チェック項目」を有効化する必要があります。
※上書き登録を行うには「レコード上書き登録の設定方法」も行う必要があります。
1. アプリの管理画面から「レコード項目の設定」を選択
2. 「開発者管理モード」に切り替えチェックマークが2つ連なったマークを選択して有効化
※「重複チェック項目」を有効化した項目のみ照合処理を行います。
◆レコード上書き登録の設定方法
AI-OCRが完了した際のレコード登録方法を上書き登録に変更します。
※上書き登録を行うには「重複チェック項目の設定方法」も行う必要があります。
1. アプリ管理画面から「AI-OCRの管理」を選択
2. 「レコードの登録方法」の「上書き登録」か「新規登録または上書き登録」を選択
◆登録方法について
・登録/置換
データがない場合に登録、データがある場合には置換を行います。そのため、変動する可能性があるデータの登録方法として利用できます。また、常に置換するため、データは最新の状態を維持します。
活用例 : 所属部署、最終更新日時 など
・未登録の場合登録
データがない場合のみ登録を行います。そのため最初に登録したデータが保存され、データは最も古い状態を保ちます。
活用例 : 初回実施日時、開始日 など
・追加登録(数値)
数値項目の追加登録は、データがない場合は登録、データがある場合には既存の数値に加算を行います。上図の例では、「実施回数」を「固定値1」として設定することで、AI-OCRを実行するたびに「実施回数」に1が加算されます。これにより、アンケートを読み取るたびに実施回数が1増えるため、自動的にアンケートの実施回数を記録することが可能になります。
また、固定値を使用せずに読み取った金額などの値を加算し、読み取ったデータの合計金額を求める場合などにも使用することができます。
活用例 : 合計金額、読み取り回数 など
・追加登録(文字)
文字項目への追加登録は、データがない場合は登録、データがある場合には登録済みデータに追記する形で登録されます。数値項目の追加登録の例では実施回数の登録を行いましたが、文字項目の追加登録を使用することで、実施した回数情報を登録することが可能です。文字が追記される際には、既存の文字と追加される文字の間に自動的に空白が挿入されます。
活用例 : 参加履歴、タグ付け など
・登録しない
固定値や登録データにかかわらず、登録を行いません。
◆まとめ
・上書き登録を使用することで既存レコードに対しての登録が可能
・上書き登録の実行には「重複チェック項目」の有効化が必要
・データの登録方法は4つ(登録/置換・未登録の場合登録・追加登録・登録しない)
AIへの指示について
対応フォーマットタイプ >>> フリーフォーマット
対応登録方法 >>> 新規登録・上書き登録
フリーフォーマットではAIを使用して処理を行っており、AIに対して指示を送ることができます。指示には「読み取り指示」と「追加指示」の2種類があります。
読み取り指示
・ファイルからデータを読み取る際の指示
・1つの指示が読み取り文全体に対応している
追加指示
・読み取ったデータをレコードに登録する際の指示
・1つの指示が1つの項目に対応している
◆「AI指示」の使用例(読み取り指示)
海外発行の領収書など、特殊なフォーマットを読み取る場合には「読み取り指示」が役立ちます。例えば、上図のように領収書に「$20.00」と記載されている場合、AIが「2,000」と読み取ってしまうことがあります。このようにデータ読み取り時に齟齬が生じた場合には、「読み取り指示」を行うことで改善できます。
今回生じた齟齬としては、「海外発行の領収書」であるにもかかわらず、「金額を円表示」で読み取ってしまったことが挙げられます。そのため、読み取り指示には「海外発行の領収書」の場合、「金額をドル表記」で読み取るように記述します。読み取り指示の1例として、「海外発行の請求書・領収書やドル表記の金額などはドル表記で読み取って」と記述できます。これにより、齟齬が解消され、下図のように正しく読み取ることができるようになります。
◆「AI指示」の使用例(追加指示)
1つのアプリで領収書を管理する際、海外発行の領収書などが含まれると、円表記とドル表記が同じアプリ内に混在してしまうことがあります。その結果、レコード一覧が見にくくなったり、全レコードの合計金額が正しく計算されないなどの問題が生じる可能性があります。この問題を解決するためには、「合計金額」をすべて円表記で登録するように設定する必要があります。「合計金額」のように1つの項目に対して指示を行う場合は、「追加指示」が有効です。
「合計金額」がドル表記の場合、円表記として登録するために「合計金額」に対して追加指示を設定します。この際、ドルレートなどの詳細な条件を指定することで、より正確な処理が可能になります。1例としては「ドル表記の時は1$=147円として計算して」といった追加指示を設定することで、下図のように全レコードの合計が正しく処理されるようになります。
◆まとめ
・AIへの指示は「読み取り指示」と「追加指示」の2種類
・「読み取り指示」はファイルからデータを読み取る際の指示で、1つの指示が読み取り文全体に対応
・「追加指示」は読み取ったデータをレコードに登録する際の指示で、1つの指示が1つの項目に対応